2010/07/19

序盤研究 第三回

2ヶ月ぶりの更新となる今回は、できるだけ不利にならずに相手の暗記範囲から外す手順を検討しようと思う。

まず、不利にならないように暗記範囲から外れる確率の高い手順とはどのような手順であるかだが、やはりそれは引分分岐数の多い手順になると思う。有名な引分手順でない限りは、普通に引分進行を打っていても暗記切れを起こすと思うが、分岐数が多い場合には尚更暗記切れを起こし易くなる。引分形勢で相手の暗記範囲外にできれば御の字だ。オセロには序盤の引分分岐だけでも人間には覚えきれない程の数が存在している。

そんな分けで今回は Zebra 先生の Book (終盤24~28手読み) に登録されている中から引分分岐数の最も多い手順(序盤20手まで)を紹介する。


初手 F5 から始めた2手目。序盤研究 第一回 で紹介したように斜め取りの方が引分分岐数が多くなる。


斜め取りで E6 D6 と進んだ5手目。飛び出しの進行よりも、牛定石の方が引分分岐数は多い。


6手目は F4 の大量取りよりも E3 進行の方が引分分岐数が多くなる。


7手目はF3になる。D3よりもF3の方が2倍以上引分分岐が多い。


8手目は C4 が最も多くなる。 大会等の実戦の対局では F4 を好む人が多いかもしれない。以前は F4 は白2石勝ちと思われていたが、比較的最近に引分進行が見つかり、引分に収束している。


9手目はC3。実戦譜ではC6を打つ人が多いかもしれない。ここで漸く縦取りの引分分岐数よりも少なくなった。


10手目。引分分岐は3箇所あるが B6 が圧倒的に多い。


11手目は C6 一択で進み12手目。F4が引分分岐数が最も多くなる。


13手目。黒に有力な変化が3個あるが引分分岐数はD7が最も多い。


14手目は一択でB4に進む。
15手目は引分進行は4箇所あるが A3が圧倒的に分岐数が多い。

余程の暗記マニアでない限り、普通はこの辺りで既に暗記切れになっていると思う。この進行ならここ位まで暗記していれば十分かもしれない。

一応20手まで進めてみる。16手目は一択でB5と置いて下記局面。17手目はG3を選択する。


18手目。引分分岐が6箇所あるので暗記するのが涙目になる。引分分岐数はA4が最も多い。

19手目。黒からの引分分岐は3箇所。G5が最も多い。

20手目。引分分岐がさらに5箇所。G6が最も多くなる。


21手目。黒からの引分分岐が4箇所。D2が最も多い。



ということで、一応21手まで紹介したが、実戦でこのような引分分岐数の多い進行を打った場合には、序盤十数手程度で、双方の暗記が切れるような展開になるはずだ。

一般的には、引分分岐が多い=暗記が大変、となるかもしれないが、必要な暗記量=相手の暗記量と同程度と仮定するならば、実は、引分分岐数の多い進行は、相手も暗記できていないために、逆に暗記量を減らせれる可能性がある。(たとえ、暗記の絶対量は減らせなかったとしても、その分、より序盤で暗記切れにはなる。)


そんな分けで、暗記に頼らず、読み勝負に持っていきたい場合には、引分分岐数の多い手順は有効かもしれない。


今回公開した情報は2010年7月時点のものであり、解析が進みむとこのようにならない可能性があることも注意して欲しい。Zebra は中盤の精度が悪いために、解析不足の状態では、引分進行が不正確な状態にある。(引分でない進行が引分に見えたり、逆もありえる。)
最近進めた Edax による解析では Zebra の引分進行が崩れたりするケースが幾つかあった。

2 件のコメント:

  1. 引き分け勝ちを持ってる側は前の記事みたいに分岐減らしていくのがよくて、持っていない側は今回みたいに分岐多いの選んでくのがいい気がします。

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  2. 相手次第ではその逆でもいい気がします。

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