2010/03/13

序盤研究 第二回

今日、一般的に強いと言われるオセロソフトのBOOKでは、LOSS と判定した進行は、盤面最悪手として評価値が付けられる。WZebra然り、Ntest然り、Herakles然り。

この評価値の付け方の場合、単純に評価値の最善手順を探索していけば、ある手順が引分であるかどうかを確実に識別可能である反面、引分でなかった場合には評価値が大きく狂うことになる。そのため、最善で2石差となる進行でも、評価値が -4 などになってしまう。

元来BOOKは、対コンピュータ戦を想定しているが故に、引分進行さえ判別できれば十分である。しかし、対人戦を想定した場合、2石差或いは4石差の進行だとしても殆ど互角である場合が多い。従って、引分進行以外の評価値が大きく狂っているようなBOOKでは、対人戦用の序盤研究には役に立たない。


    /ミミミミミミミ川\
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 /三三三|            |
/三三三>      \ / <|
|三三三/  〈____  )) __)
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. |ミ(6 |_|       / |\  〉    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ 
.  | し       /   |   |     | あえて言おう    | 
.  丶|   |       〈  」〉 |   <             |
.  |   |      __  /     | カスであると      |
.  |    \      ー  /      \_______/
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.  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄|
.  |   二二二\_| | |_/二
.       二二二__| | |_二| 


そこで、自分が所有しているBOOKでは、引分でないと確定した進行に関しては、LOSSの評価値を石差の整数値で書き換えるようにしている。完全読みで2石差の場合は、2.00、4石差の場合は4.00 という具合だ。そうすると、結果として各変化の正確な石差とその進行を求めることができる。例えば、下記のような状態になる。


おまけでオセロのトリビア。暴走牛は双方最善で20石差になる可能性が高い。


しかし、世間一般に出回っているBOOKは、引分以外の進行の評価値が大きく狂っているものであり、それを参考にしてしまったオセロプレイヤ達は、(個人的な感覚では)退屈で閉塞的な引分の序盤進行しか打たない傾向があるように思える。

例えば、下記のような Comp'oth の盤面では、、B3、B4、B5 は2石差進行であり、人間にとってはほぼ互角と言える展開になるにも関わらず、殆ど打たれることがない。


このような進行が殆ど打たれないのは、質の悪いBOOKの普及と、各オセロプレイヤの序盤研究不足に因ることが大きいと感じる。これは、対戦するオセロプレイヤ同士の序盤の研究レベルが低いほど、有り触れた序盤の棋譜しか見られなくなる。

本当は、引分進行に拘らなければ、オセロの序盤は思いの他変化に飛んだものになり、面白くなるはずだと思う。研究のやり過ぎでオセロが詰まらなくなるという人が居るならば、その人はまだまだ研究不足に違いない。打てる手(研究した手)が少ないから詰まらなく思えるだけだからだ。オセロの序盤は簡単には人間が覚えきれない程の変化があるのだから。

坂口様の理論によれば、四段の書く記事を読んでも四段以上になれないので、今回の記事は高段者は参考にするべきではない。しかし、その理論に従うと、高段者よりも遥かに強いWZebra様が指し示す進行は、覚えておくべきである。

1 件のコメント:

  1. アルテメット2019年5月15日 0:17

    失礼致します。1つお聞きしたいのですが、LOSSの評価値を石差の整数値で書き換えるようにしているとありますが、評価値を整数値に変えるにはどのようなことをすればよろしいでしょうか?

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